ブログ小説『戦慄のロックンロール』
世界征服を目論むDr.ワイリー。
自ら作り出したロボットたちを街を送り込み、破壊の限りを尽くしていた。
ワイリーたちが向かっているのはライト博士の研究所。
ライト博士を倒せば世界征服を阻む者はいないと、ワイリーは考えていた。
ワイリー「これで世界はワシの物じゃ! ダハハハァ~」
ワイリーのロボットたちはライト博士の研究所へ向けて、一斉に攻撃を開始した。
ライト「やめるんじゃ!ワイリー!」
ワイリー「お前さえいなければ、世界は今度こそワシの物じゃ。科学者として、いつもお前が一番を取り、ワシは二番じゃった。それも、世界のトップになれば関係なくなるわい」
ワイリーはライトを殺す事をいとわない。己のためなら、何でもするだろう。
ワイリー「さぁ、撃て!この研究所を破壊するのだ!」
どこからか口笛の音が聞こえる。
ワイリーのロボットたちが次々に爆破されていった。
研究所の上から降りてきたのは赤いロボット。ブルースだった。
ワイリー「ブルースか!? 忌々しいヤツめ!」
ブルースの銃口がワイリーに向けられる。
ブルース「これまでだ!」
しかし、ワイリーはそれを鼻で笑った。
ワイリー「フンッ。お前など怖くはないわ」
手にしたリモコンのスイッチを押すと、ワイリーの前にワイリーマシンが降り立った。
ブルースはその腕からブルースバスターを撃ち放った。
しかし、ワイリーマシンの装甲がそれを弾く。
その隙に、ワイリーはマシンに乗り込んだ。
ワイリー「無駄じゃ無駄じゃ。このネオ・ワイリーマシンはどんな攻撃も通用せんわい」
丸い球体に頑丈な装甲を取り付けたワイリーマシンに隙はない。
そのどこにも銃口が無いのに、マシンから強力なビームが無動作で放たれる。
ブルースはそれを盾で防ぐ。が、あまりにも増大なエネルギーに盾から手を離した。
ワイリー「これで終わりじゃ!」
ブルース「チッ!」
すぐにその場を離れるブルース。しかし、ワイリーマシンのビームはその身を屈折してブルースへ向かった。
ビームはブルースの片腕を破壊した。
ブルース「うぅうう!」
バチバチと激しい音を立てるブルースの右腕。
ワイリー「お前もすぐにロックマンの後を追わせてやるわい」
ブルース「なんだと?ロックマンは、まさか……」
ワイリー「この強力なビームで体を粉々にしてやったわい。お前もそうなるんじゃ!」
ブルース「ば、ばかな……」
エネルギーをチャージするワイリーマシン。
そして再びマシンからビームがブルースに放たれた。
巨大な爆発が巻き起こる。
ワイリー「これで残るはライトだけじゃ。ワシの世界征服の夢が実現するぞ」
ロックマンとその仲間達、そしてブルースを倒したことで、ワイリーは喜びのあまり大笑いした。
その様子を見て、街の人たちは絶望した。
世界は、一人の科学者によって支配されようとしていた。
しかし、ワイリーに立ちはだかる者がいた。
ワイリー「む? 誰じゃ?アイツは……?」
立ち込める煙が晴れると、そこにはブルースを抱えた青いロボットがいた。
ブルース「ロック、マン……」
それは間違いなくロックマンだった。青いヘルメットの下の瞳は、優しげにブルースを見ていた。
ワイリー「そんなはずはない!ロックマンはワシの手で葬ったんじゃ!ついさっきのことじゃぞ!」
ロックマンはブルースを降ろすと、ワイリーにロックバスターを向けた。
ロックマン「僕は負けない。お前の野望を打ち砕くために……ワイリー!」
ワイリー「予備のパーツを用意しておったのか。忌々しいヤツめ」
ロックマン「これ以上、好き勝手はさせない!」
ワイリー「何度やっても同じことじゃ~!」
ワイリーマシンから放たれるビームを、ロックマンは紙一重でかわす。
それだけでもダメージがある。しかし、そうしてかわすことしかできないのだ。
ロックバスターがワイリーマシンのコックピットへ放たれる。が、結果は同じ。
その厚い装甲の前に弾かれてしまう。それでもロックマンは撃ち続けた。
ロックマンはビームを放つタイミングを予測しながら、動き続けた。
攻撃の予備動作も何も無いワイリーマシン。予測するのはワイリーがボタンを押すであろうタイミングだ。
ワイリー「妙じゃな。なぜロックバスターしか撃たん? 他の武器はエネルギー切れか?」
ワイリーの作ったロボットを倒してきたロックマンは、そのロボットと酷似した武器を使うことができる。
しかし、そこにいるロックマンはロックバスターしか使ってこない。
ワイリー「フン。おかしなマネをする前に、破壊してやるわい」
ワイリーはビームを放つのを止め、マシンで体当たりを仕掛けてきた。
それを飛んで避けるロックマン。
ワイリー「かかった!」
すかさずビームを放つワイリー。
ブルース「あぶない!」
ブルースはロックマンを突き飛ばした。そのビームはわずかにそれ、ロックマンのヘルメットを飛ばした。
ロックマンの頭から、金色の髪がパサリと流れ出た。
ワイリー「ロックマンじゃない?お前は、ロールか!」
ロックマンと思っていたロボットは、青いボディに姿を変えたロールだった。
戦闘用に作り変えられ、ロックマンのヘルメットをかぶって成りすましていたのだ。
ブルース「チッ。バレてしまったか……」
ワイリー「すると……ロックマンは研究所の中じゃな?」
ワイリーによって破壊されたロックマンをこの研究所に運んだのはブルースだった。
損傷が酷く、すぐには直せない状態の中、ワイリーがライト博士の研究所に向かっていることを知ったロールは、自ら戦うことを選んだのだった。
ロックマンのヘルメットと、ロックバスターを受け継いで……。
ロールはロックバスターをワイリーに向けた。
ワイリー「これは愉快じゃ。そんな元・家庭用ロボットがワシのマシンに敵うものか。この研究所も終りじゃな」
ロール「終わらせない!あなたなんかに壊させないわ!」
ロックバスターがワイリーマシンに放たれた。しかし、結果は変わらない。
ワイリー「フン。お前を倒したらその体をワシの戦闘用ロボットに作り変えてくれるわ」
ロール「ロボットは人間に危害を加えるために生まれてくるんじゃないわ!」
ワイリー「ロボットは人間のために作られるのじゃ。ワシの命令に従っていればいいんだ」
ロール「それはあなただけよ。ライト博士は違うもの!」
ワイリー「ヤツとて違わんわ。現にお前は戦闘用に改造されているじゃないか。アヤツは自分の命を守るために、お前に戦えと命令しているではないか」
ロール「違うわ。ライト博士はどんな思いで私を戦闘用にしたか……あなたには分からないわ!」
ロールはワイリーマシンに向かって走り出した。
放たれるビームを避け、至近距離でロックバスターを撃ち放った。
しかし、それでも傷一つつかない。
ワイリーマシンはロールに体当たりすると、ロールは激しく吹き飛んだ。
ロール「あぅッ!」
ワイリー「どうだ?ライトよりワシの方が優れておるのだ!」
ロール「違う!ライト博士は――ッ!」
ワイリーマシンのビームがロールの目の前で屈折し、遥か上空へと飛んでいった。
いつでも破壊できる。そう脅しているかのようだった。
ワイリー「まだ言うか、愚か者めが。そんなロボットしか作れんライトも愚か者なのじゃ。ワシのロボットたちを見ろ。こんなにも忠実じゃ」
ブルースによって破壊されたワイリーのロボットたち。そのロボットたちはワイリーの命令に忠実に街を破壊し、ここまでやってきた。ワイリーはそれこそが自分のロボットだと誇った。
ロールはそんなロボットたちがかわいそうに思えて仕方が無かった。
こんなことを命令されなければ、破壊されなかったはずなのだと。
ロール「そうやってロボットたちを物みたいにしないで!」
ワイリー「ロボットは物じゃ。人間のであるワシの所有物じゃ」
ロールはそばに落ちていたワイリーのロボットの破片を握り締めた。
ロール「こんな姿になるために、生まれてきたんじゃないわ!あなたの周りを、今までを見てみなさい。壊れて命を亡くしたロボットばかりじゃない!」
ワイリー「生まれるんじゃない。作るんじゃ。最初から無い命を大事にしてどうするというんじゃ」
ロール「ロボットにだって、心はあるもの。人の役に立てることが嬉しいもの!」
ワイリー「そうやってプログラムされたんじゃろう。まったく無駄なものじゃ」
ロール「違う。それは優しさよ。ロックもブルースも、ラッシュもエディもビートも、みんな優しい心を持っている。それはライト博士が教えてくれたことだもん」
ワイリーは自分の周りにはロボットのガレキの山しかなかったことに気がついた。
変わりにライトの周りには生き生きとしたロボットたちが囲んでいた。
それがワイリーをイラつかせた。
ワイリー「くだらん!くだらん!ロボットには必要ないんじゃ!」
ワイリーマシンからビームが放たれる。
ロール「あつッ――!」
ロールの右足が焼かれ、熔解されてしまった。
ワイリー「心などなければ、痛みも感じなかったんじゃ。全てライトが間違っている!」
更にもう片方の足を破壊するワイリー。
ロール「うぅ!! ラ、ライト博士は……間違っていないもん!」
ワイリーマシンがエネルギーをチャージしはじめる。
ロールは震える腕を押さえながらロックバスターをワイリーに向けた。
通じないことは分かっている。しかし、ロールはどうしても守りたかったのだ。
己の心と、大事な者たちを……。
ワイリー「終わりじゃ!」
ワイリーマシンから強力なビームが放たれた。
ブルース「今だ!」
ブルースはロールの前に飛び出すと、盾を構えてビームを受け止めた。
その盾を伝ってブルース自身もショートしかかっていた。
ブルース「立て、ロックマン!」
飛ばされたロックマンのヘルメットをロールに差し出すブルース。
ロール「……ブルース」
ブルース「人間とロボットが共存する世界。それを守るのは、ロックマン。お前だ!」
プスプスと煙を上げるブルースの体。
ロールはその手からヘルメットを受け取ると、大きく頷いた。
そしてそのヘルメットをかぶり、再びロックマンの姿に戻った。
ロール「うん!私は、みんなを守りたい!」
ロールはヘルメットから太陽エネルギーをチャージし、ロックバスターにエネルギーを注いだ。
ワイリー「ええぃ!これならどうじゃ!」
更にビームの威力を上げるワイリー。
二人はその場から離れると、ワイリーマシンへ飛び出した。
ブルース「狙え!」
ロール「ハイ!」
ブルース「最強の矛と盾は互いの身を傷つけあうんだ!」
ブルースはワイリーマシンのビームを纏った盾を突きたてた。
ビームを纏った盾はワイリーマシンの装甲を溶かし、盾自身がマシンに食い込んだ。
そこからマシンの内部が露になる。
ロール「届いて! ロックバスター!!」
チャージされたロックバスターがブルースの盾に当たると、盾はワイリーマシンの中で砕け散った。
威力を保ったままのロックバスターがワイリーマシンの中へ入って行った。
硬い装甲によって守られたワイリーマシンの中で、ロックバスターが弾け回った。
ワイリー「こ、こんなことが!?」
そしてワイリーマシンは内側から爆発を起こした。
巨大な爆発の中、ワイリーはその身を放り出されていた。
そこへ銃口を向けたのはボロボロになったブルースだった。
ワイリー「ま、待ってくれ!そんな体で撃ったらお前もただでは済まんぞ!」
ブルース「構うものか。もともと欠陥な体だ」
ワイリー「た、助けてくれ!ワシが、ワシが悪かった!」
ブルースを前に土下座をして頭を下げ続けるワイリー。
ブルース「くどい!そうやって何度も同じ過ちを繰り返すつもりだ!」
ワイリーのこれまでの行いがそれを照明していた。
何度も、何度も、ワイリーはその野望のために街を破壊していた。
ブルースの腕にチカラがこもる。
ロール「待って!」
それを止めたのはロールだった。無い足を引きずりながら、ブルースのもとへ駆け寄ろうとしている。
ロール「ブルース。殺してはダメよ」
ブルース「なぜだ。こいつは――」
ロール「あなたがワイリーを殺せば、私たちは本当にただのロボットになってしまう」
ロールはヘルメットを外した。
とてもロボットとは思えない、優しい顔でブルースを見ていた。
そしてロールはワイリーを見た。
ロール「ワイリー。私たちはあなたを殺さない。許すことはできないけれど、私たちの心であなたの命を助けます」
ワイリー「………………」
ロールのその姿に、ワイリーは唖然としていた。信じられないという顔でロールを見ていた。
そのロールの顔にワイリーはその言葉を本当に信じていた。
それが不愉快なのに心地良かった。だが、ワイリーは頭を振ってそれを消した。
ワイリー「次はこうはいかんぞ!」
ロール「次は本当のロックマンがいる。世界の平和は揺るがないわ」
ワイリーはブルースに目を配った後、背中を見せて逃げていった。
また、壊れたロボットの残骸の山へ戻るのだろう。己の野望のために。たった一人で……。
ブルース「……甘いな」
ブルースはため息をついてロールを見た。
ロール「いいの。だって、今はロックマンじゃない。ロールだもん」
ロールはそう言って女の子らしい笑顔を見せた。
さっきまでの戦う顔はどこかへ行ってしまったようだった。
ブルース「そうか。じゃあな。ロックマンによろしく言っておいてくれ」
ロール「そんな体で、行ってしまうの?」
ブルース「お前は自分の体と、ロックマンを心配していればいい」
ブルースはそれだけを言い残して行ってしまった。
ロールは自分が守った人々の声と、ロボットたちの音を聞いた。
果てしない大空を見上げ、青いヘルメットを抱きながら……。
いいのか?ロックマン書いて?と思いつつ書いてしまいました。
だ~か~ら~!!ブログ小説は手軽に書きたいんだってば!w
なんでこんなに長くなっちゃうんだろう?w
これだったら本格的に書いても良かったなぁ。と思ってしまう。
この小説。機会があればもう少しつっこんで書いてみたいと思います。
格闘ゲームを初出(たぶん)に、ロールちゃんのロールバスターってあるんですが、今回はロックマンの意志を受け継いでロックバスターを装備させました。
あとヘルメットかぶっても正体バレてるのでロールはロールと記述しました。
ブルースの性格は正直よくわかりませんw結構、作品で違う気がします。
最後まで読んでくれてありがとうございました!
ロールちゃんの勇姿を映像で見たい方はこっちをオススメしときますw →
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PR
無題
来てみました。
読みましたよ!
ロックマンは、やった事あるんですが・・・
クリアした事は無いんですよね。
ロックマン、ロール、ブルース、ライト博士、
Dr.ワイリーは知ってるので、大丈夫でしたが。
動けないロックマンの代わりに戦うロールちゃんが良かったです。
戦う女性というものは美しいものですよね。
むだい
シャ……いや、イクスさんwあ、あれ?どっちで呼べばいいんでしょうかw
シャズさんの方が馴染みがあるんですがw
ロックマン難しいですよね~。コンテニューしてもここからかよ!ってありますからねw
ロックマン8オススメですよん♪
初ロックマン小説ということでしたが、なんとか書けました^^
ロールちゃん褒めてくださってありがとうございます☆
戦う女性の美しさはアイリンがいい例だと思いますがいかがでしょうかw
コメントありがとうございました~。