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『霊感零感』更新しますた~。
今回は幽霊ゼロ!怖くありませんので警戒せずにどうぞ~。
ブログ小説『霊感少女と零感少年。』act.5
一麦「楽しみだねぇ」
同じクラスの一麦 千弥子(いちむぎ ちやこ)さんが俺に向かってそう言った。
徳規「えっ、なにが?」
昼休みまでまだもう一つ授業が残っている。
それに日の弁当は別段、楽しみでもなかったりする。
一麦「なにって、次の授業よ。体育でしょ?」
徳規「麦ちゃんって体育得意なんだ?」
一麦「そーじゃなくて!水泳よ。水泳!加世さんの水着姿が見れるのよ?」
加世さんの水着姿!そうだった!こんなビッグイベントを俺は……。
俺は加世さんの方を見た。衣替えした夏服が眩しいくらい似合っている。
加世「な、なによ?」
俺の視線に気付いたらしい。
徳規「加世さんって夏服も似合うね!」
シン――――と、一瞬教室内が静かになった。
かと思うと、またざわざわし始めた。
何だろう? 気のせいか。
加世「あ、あなたって人はまた人前で――――」
徳規「あれ?麦ちゃん。高校もスクール水着だっけ?」
加世「人の話聞きなさいっ!」
一麦「うん。スクール水着だね」
徳規「そっかぁ……」
スクール水着か……。
一麦「どうしたの?」
徳規「俺、あんまりスク水に惹かれないかも」
すぐ目の前に夏服の加世さんがいるせいか、それよりいいものがあるなんて思えない。
あー。そういえば夢でネコミミ加世さんを見たっけ。
うん。あれも捨てがたい。
なんとか霊感でネコミミを付けてくれないだろうか。加世さん。
一麦「徳規くん!あなた何てことを!スク水の良さを知らないなんて!」
なぜかスク水について熱く語る麦ちゃん。
一麦「体のラインがハッキリするでしょ!想像を掻き立てられないの!?」
……それ、スクール水着関係ない気がするね。
女子A「ちょっと麦ぃ。恥ずかしくなるじゃん!」
女子B「麦ちゃんはいいなぁ。スタイルいいもん」
なんか女子の方から反感買ってるなぁ。
男子A「いや!麦ちゃんの言う事は正しい!」
男子B「ただの水着には興味ありません!!」
こっちもなんだかヒートアップしてるなぁ。
そんなにいいものだろうか。スク水って……?
一麦「スク水はね! 萌えるのよ!!」
……とりあえず、これ以上スク水議論が続く前に更衣室に行こう。よく分かんないし。
~~~~~~
陽射しも照り照り。
水泳パンツ一丁なのに暑い。
プールを見ると、1~8番のコースのうち、4と5のコースの間に上からロープで線が引かれていた。
先生の説明だと、ここが男女の境界線らしい。何の意味があるんだろうか?
男子A「おい。見ろよ。お前の彼女が水着だぞ」
男子B「やっぱスタイルいいよな~嘉名は」
言われるままに女子サイドの方を見る。
するとそこには加世さんがいた。水着姿で。
普段と違う格好なせいか、それとも水着だからか。
無駄にプールの水面が輝いているわけでもないのに、俺は眩しくて加世さんが見れないでいた。
徳規「……だめだ。やっぱり眩しすぎて見えない」
加世さん独特の雰囲気がそうさせるのか、なぜかヤラシめな目で見えない。
そんな中、加世さんを連れてやってきたのは麦ちゃん。
なぜか柄のあるビキニで色々と揺らしながら……。
一麦「連れて来たよー」
加世「な、なんでよぉ」
一麦「あれ?徳規くん鼻血?」
徳規「な、なんでもないよ。それよりなんでビキニなの?」
一麦「あ~。間違えただけ」
間違えるかな普通。
スクール水着の良さを熱く語っていた割りにビキニとは、さすが麦ちゃん。
自然と他の男子の視線も釘付けにしている。
一麦「私を見て鼻血を出すってことは加世さんならどうなるの?」
グイグイッと加世さんを前に押し出す麦ちゃん。
楽しそうだなぁ。
一麦「どう?どう?」
加世さんを見るとまるで目を焼かれるようだ。
眩しくて直視できない。
徳規「うっ!やっぱり眩しすぎて直視できない!」
加世「…………ばか」
徳規「あ、加世さーん!」
加世さんはなぜか怒って行ってしまった。
一麦「ダメだよぉ。ちゃんと褒めないと。徳規くんに見て欲しかったんだから」
徳規「え?そうなの?」
一麦「恋する乙女はそうなの!」
恋する乙女って言うけど、加世さんから告白の返事貰ってないんだよなぁ。
徳規「わかった!行って来る!加世さーん!」
加世さんの所へ駆け寄ると、加世さんはなんだか不機嫌な顔で俺を見ていた。
加世「……何?」
徳規「ごめん。俺、もっとよく見るから」
どげしぃっ!!!
加世さんに蹴り飛ばされ、俺はプールの中に落とされた。
加世「フンッ!」
物凄い剣幕だったのは覚えているけど、何で蹴られたかは分からない。
一麦「……そりゃあ。そうなるよね」
先生「コラッ!勝手に入るな!」
俺に向かってメガホンで叫ぶ先生。
その後、その先生から説教を受けて、俺だけ準備体操を二倍させられた。
とりあえず、水泳の授業は普通に行われて、ラスト十分は自由時間になった。
加世さんを見ると、プールサイドに座っていた。
まだ怒ってるかなぁ~?
一麦「徳規くん」
ここでまた麦ちゃん登場。
なんか麦ちゃんがいると話がややこしくなるような……いや、気のせいか。
一麦「さっきの誤解といてあげたから、謝りに行こうよ」
徳規「うん。そうだね」
俺と麦ちゃんは加世さんの所へ行った。
徳規「ごめん!」
両手を合わせて頭を下げる俺。
加世「いいわよ。もう……」
徳規「本当に?」
加世「本当だから。大声で謝らないで、ホントに……」
加世さんはうんざりした口調でそう言った。
大声だったかな?夢中になるとそういうのが気にならなくなるからなぁ。
一麦「加世さんはあまりプールに入らないね?」
麦ちゃんはここで話題を変えてくれた。
ありがたい。
一麦「やっぱり霊かなんかいるから?」
加世「関係ないわよ。それは」
一麦「でもよく足を引っ張られるとかって言うよね」
加世「霊はそんなことしないわ。足がつったりした人が霊のせいにしただけじゃない?」
俺はここでポンッと手を叩いた。
徳規「分かった! カッパだ!」
加世「あんたは人の話聞きなさい!」
一麦「えぇ!?カッパって幽霊なの!?」
加世「何でそうなるのよ……」
加世さんはハァ~とため息をついた。
加世「あのね。幽霊も好きでさ迷ってるわけじゃないの。何かある度に幽霊のせいにしちゃ可愛そうでしょう? それに、何かある度に霊感霊感って言われるのも……ね」
そうか。加世さん霊感あるの、ホントは嫌だったんだ。
そうとも知らずに俺は今まで……。
徳規「ごめん。加世さん。霊感なんて無いほうがいいよね」
加世「……そうね。でも、徳規くんは少しはあった方がいいかもね」
そう言って加世さんは笑った。
ほら、もうそれだけで俺には眩し過ぎて見えない。
一麦「じゃあ丸く収まったところで~。泳ぎましょう!」
トンッ。と俺と加世さんを押す麦ちゃん。
加世「え……」
徳規「おわっとと!!」
寸での所で堪えたものの、加世さんはプールに真っ逆さま。
ザブーンと水しぶきを立てて落ちていった。
加世「わっ、ぷは!」
水面から顔を出しす加世さん。何だか顔色がよろしくない。
一麦「もしかして!足!引っ張られてるんじゃ!?」
加世「つ、つ、ぷぅ! つったの!! もがっ……」
次に顔を上げた時は鼻も口も水面から出ていなかった。
これは大変だ!!
徳規「俺が助けにブボブブブ……」
言うよりも考えるよりも早く、俺はプールに飛び込んでいた。
水中で加世さんの体に手を回し、急いで加世さんを水上へ持ち上げた。
こんなに柔らかくて軽いのに溺れるなんて!
徳規「ぷはぁ~っ!」
俺と加世さんがプールから出ると、加世さんはすぐに寝かされた。
すぐに先生も駆けつけてくる。
先生「水を飲んでいる。すぐに人工呼吸をしなくては!」
すると麦ちゃんは俺の腕を引っ張って耳打ちした。
一麦「徳規くんがしなくちゃ!」
徳規「えぇ!俺!?」
一麦「先生に唇奪われた上に胸まで凝視されるんだよ!? 嫌でしょ!」
徳規「でも、こんな緊急時に…………あれ?」
すぐ横にいたはずの麦ちゃんがいない。
おかしいな?と思ったらプールの中で暴れていた。
一麦「せ、先生!足がつっちゃって~!!」
先生「なにぃ!? こっちもか! 誰か嘉名に人工呼吸をしてくれ!あと保健の先生も呼んでこい!」
そう言って麦ちゃん救出のためにプールへ飛び込む先生。
麦ちゃん。いつの間にプールで溺れたんだろう……。
男子A「椎野!早くしろよ!」
そうだ。加世さんが危ない!
どういうわけか誰も人工呼吸をしようとしない。
……なら、俺がしなくちゃ!
加世さんの顎を持ち上げて、俺は大きく息を吸い込んだ。
そして加世さんの口に自分の口を近づけた。
一同『おぉおおお!?』
周りのみんなが何か声をあげているけど、今はこっちが優先だ。
そのまま加世さんの唇へ――――。
ゴキンッ!
加世&徳規『いったぁ~!!』
俺と加世さんは互いに頭を押さえた。頭も鼻も思いっきりぶつけてしまった。
人工呼吸をしようとした瞬間、加世さんが目を覚まして起き上がったらしい。少し水吐いてるし。
徳規「よかった!なんとも無い?」
加世さんの無事に喜んでいたら、周りから「惜しい!」とか「もう少し!」という声が聞こえてきた。
なんでだろう?
加世「い、い、い、今! 何を!?」
徳規「加世さんが溺れてたから人工呼吸を――――」
ばちぃいいいいん!!
俺の頬に加世さんの平手……じゃなくて拳が飛んできた。
あまりの一撃に俺はヨロヨロと膝を着いてしまった。
加世「あ…………」
加世さんは自分の手と俺を見比べると、すぐに走って行ってしまった。
なんでこうなったのかホントによく分からない。
一麦「あっちゃ~。これは効いたなぁ」
またしてもいつの間にか近くにいる麦ちゃん。
徳規「効いたって?」
何の事かと麦ちゃんを見ると、キョトンとした顔で俺を見ていた。
一麦「あれ?怒ってないの?助けようとしたのに叩かれたんだよ?」
俺は腕組んで考えた。
徳規「う~ん。……俺の頬に幽霊でも憑いてたのかな?」
一麦「蚊じゃないんだから。まぁ、徳規くんがそれだから安心していられるんだけどねぇ」
麦ちゃんの言葉にクラスの大半がうんうんと頷いた。
一麦「まぁ、それも加世さんの悩みどころだろうなぁ」
徳規「え、どういうこと?」
一麦「ううん。なんでもない!それより心配だから私、見に行ってくるよ」
話を中断して麦ちゃんは行ってしまった。
――ホントにどういうことだろう?
~~~~~~
更衣室に駆け込むと、私はひどく後悔していた。
徳規くんは私を助けようとしてくれたのに、混乱した私は彼を叩いてしまった。
きっと私のことを嫌いになったに違いない。
そうなったらと思うと、苦しくて仕方が無かった。
――どうして? どうしてこんなに苦しいの……。
悪霊にとり憑かれた時よりも、何倍も何倍も苦しかった。
一麦「加世さん。大丈夫?」
更衣室に入ってきたのは一麦さんだった。
私を心配して来てくれたんだと思う。
一麦「大変だったねぇ」
一麦さんは濡れた私の体にタオルを被せてくれた。
加世「……どうしよう。私……」
一麦「徳規くんなら大丈夫。ホッペに幽霊がとり憑いてて、それを払ってくれたと思ってるよ」
真意は別にして、その言葉に少し救われた気がする。
―ー本当に……変な男。
でも、事実は違う。悪いのは私。私なんだ……。
一麦「徳規くんね。誰よりも早くプールに飛び込んだんだよ」
加世「うん……」
それは私の目にも映っていた。
今回だけじゃない。彼はいつも、いつも……いつも私を守ってくれていた。
一麦「徳規くんも心配してたよ。だから行こう。一緒に着いて行ってあげる」
一麦さんはそう言って微笑んだ。
それは私の不安な心を拭い去ってくれるような……そんな笑顔。
加世「でも、どんな顔をしたらいいか……」
一麦「う~ん。いつも通りで!ねっ☆」
無邪気な笑顔で一麦さんはそう応えた。
――いつもの通り、か……。
いつも、いつも、私の近くにいたんだ。
そんなことも、当たり前すぎて気がつかなかったんだ。
――決めた。
私は心の中である決意をした。
このままじゃダメ。ずっと保留にしていた、彼の気持ちに返事をしなくちゃ。
加世「……行くわ」
一麦「よかったぁ~。調子悪かったら言ってね?」
一麦さんは私の手を取って歩き出した。
私もその後を着いて行く。
加世「……!」
私は足を止めた。
一麦「どうしたの?」
私は意識を取り戻してからのことを思い出していた。
ゆっくりと、正確に……。
……あの時、額をぶつける前に。
私の唇は彼の唇に触れていた。
わずかに。ほんの一瞬だけれど……。
加世「……ぁ」
その事実に私は自然と自分の唇を指でなぞっていた。
徳規くんは気付いているだろうか?
もし気付いていたら私は……私は!
ドキドキと胸が高鳴り、顔が熱くなっているのも自分で分かった。
彼がこのことにも零感であって欲しい。そう思ってしまった。
一麦「加世さん?顔赤いよ。大丈夫?ねぇ?ねぇ?」
完全に思考が止まった私を、一麦さんは「ねぇねぇ?」と揺すり続けていた。
無題
水泳の授業があって、スク水で、男女共同での授業・・・ だと・・・?
流石に中学から分けられましたからね。 羨ましいですな。
ももこさんがスク水絵を描いてくれた・・・
というのが一番の要因のような気がしますねw
なんかそんな気がしてならないのは気のせいでしょうかw
麦ちゃんがいいキャラ過ぎますね。
むでゃい
男子が潜ってチラチラ見てるのが上では丸分かりで面白かったww
ニヤニヤ展開ですよw趣味ですwすんませんwww
でもこういうの書くのはあまり慣れてなかったりもしますが^^;
ももこさんに描いてとせがんだら描いてくれたので、小説にしましたw
麦ちゃんいいキャラですがトラブルメーカー率高いなぁと今回思いましたねw