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 本編の進行が停滞しているせいでイナのとある設定が出てこない。
 このまま書かないと後々面倒なことが起こる!!
 ……ということで、保管するべく、またブログ小説に戻ってきましたー!w
 あと少し書き方変えてみます。(ブログ小説として)
ブログ小説『-抜然人活劇- イナ ~時を翔るイナ~』


 悪を断つ剣として、あたしは鬼神の名を受け継いだ。
 そして鬼神として、武神と謳われる父上を超えるんだ。
 立ち止まってなんかいられない。あたしがイナ・シルバチオ・ボルダーンである限り。
 これからもずっと戦っていくんだ。この斬巌刀と共に。ずっと……

「……っは」

 ドクドクと胸の激しい鼓動が聞こえてくる。
 胸に手を当てて感じてみたいけど、今はそれも敵わない。
 左腕は折れて使い物にならないし、右手はお腹を押さえておくだけで手いっぱい。
 ねっとりとした血の感触が右手に広がる。
 傷は深い。地面に身を預けているけど、とても起きられそうにない。

 あんなに走り続けてきたのに。悪を断つために剣を振るってきたのに。
 負けれはそんなものは全部無かったことにされてしまうんだ。
 本当なら悔しいはずなのに、なぜだろう。そんな気にならない。

「今日、は……青い」

 雲一つ無い青空を見上げていた。そよぐ風は温かく気持ちがいい。
 これから死のうっていうのに、世界はなんて穏やかなんだろう。
 さっきまで熱くてたまらなかった体が、急に肌寒さを感じていた。
 あたしは何気なく左へ首を動かした。少し離れたところにはあたしの愛刀が地面に突き刺さっている。
 そのまま左のショルダーアーマーにある紅い宝玉に視線を移した。

 この宝玉はあたしの大切な人から頂いたものだ。
 この宝玉とも、ずっと旅をしてきたんだ。
 それが終わる時が来るなんて、この宝玉を頂いた時には思いもしなかったな。
 
「アイリ……ン……さ、ま……」

 傷口を押さえていた右手を離し、左肩の宝玉に触れた。
 赤く美しい宝玉に、あたしの血がべっとりとつく。それでも手は放さない。
 あたしはその宝玉から、不思議と温かさを感じていた。
 このまま目を閉じてしまおう。そしてイナという剣士の生涯を終わらせよう。
 悔いは無い。何一つとして悔いは……

『まだ、終わっていない』

 どこからかそんな声を耳にした。
 もう終わっているのに。こんなに血が流れているのに。助かるはずが無い。

『目を開けろ』

 まぶたの向こうに眩しい光を感じた。
 驚いて目を開けると、紅い宝玉が紅い光を放っていた。
 宝玉についたあたしの血。それが宝玉に吸い込まれるように消えていく。
 こんなことが起きるなんて思いもしなかった。

「宝玉が、しゃべったの……?」
『そうだ。私はこの中で長い年月をかけて、多くの魔力を蓄えてきた』
「魔力?」
 あたしは魔法なんて使えない。もしかしてこれをくれたアイリーン様の……?
 でも、アイリーン様が魔法を使えるだなんて聞いたことが無い。

「お前は、なんだ?」
『私は……マルロス。破壊と闘争を求める者』
「……それで?」
『あとは思い出せない』
「ふぅん。でも、なんか、悪者みたい、ね」
『破壊に善も悪も関係ない』
「あ、そう……残念だけど、あたしはもう……」
『私にすべてをささげよ。その身も、魂も』 

 これが悪魔の囁きというものか。
 だんだんそれらしくなってきた。あたしの頭がどうかしてきたのかもしれない。
『さすればその命、生きながらえることになろう』
「いやだ、ね。身も心も、あたしのもん、だ。ささげるて、やる、もんか!」
『それで構わない』
「え?」
『その身も心もお前に返そう』
「気前のいい悪魔もいたもんね」
『ただし、お前を破壊と闘争の世界へ導かせて貰う』
「なんなの、それ……?」

 こいつの言うことが本当だとして、あたしはどう生きていく?
 またこうして命を失うのではないだろうか?
『さあ、どうする?』
「どうするも、なにも……ケホッ!」
 そんなものには応じない。そう言おうとした時、喉の奥から血が込み上げた。
 錆びた味があたしに死をより強く意識させた。
 さっきまで受け入れようとしたいた死。それが急に嫌になっていた。
 ――死にたく、ないの……あたしは?
 死ぬことへの疑問が次第に強くなっていく。
 
 その時、母上の笑顔があたしの脳裏を過ぎった。
 いつまでも忘れることの無かった愛しい笑顔。
 ……そうだ。母上だったら決して死を受け入れたりはしない。
 あたしはあのイト姫の娘、イナだ!!
「わかった。お前に、あたしを、くれてやる……!」
『ならば今ここに。汝を生贄とし、我にささげよ』
 宝玉は更なる光を放ち、その光はあたしを飲み込んだ。
 紅い光の中。眩い光があたしを包むと、血が止まり、傷口が塞がっていった。

 あたしの体は、あたしのもの。この心も、あたしのまま。
 ただ、あたしはこれから破壊と闘争の世界へ導かれるんだ。
『さあ行こう。破壊と闘争の世界へ』
「わかった。だけどマルロス。あんたの思うようにはならないよ」
『なんだと?』
「破壊と闘争なんて起こさせない。そうならないように、破壊も闘争も、すべて断つ!」
 それは武神と謳われた父上、竹蔵の名にかけて!
「覚悟しておけ!この破壊神め!」
『ならば見せてもらおう』
「……なんだ!?」
 あたしを飲み込んでいた紅い光が消えた。
 眩しさにまだ目が慣れていないあたしは、かろうじてここがさっきいた場所ではないと分かる。
 森だ。森の中にいるんだ。

『我は求める。破壊と闘争を』
 左肩の宝玉はもう光を放っていない。それなのにまだマルロスの声が聞こえる。
 やっぱり、夢じゃないみたいだ。
 傷口は塞がっているものの、服は破れたまま。斬巌刀も地面に突き刺さったままだ。
「ここで破壊と闘争が起こるのか……」
 そんなものはあたしが止めてみせる!
「マルロス。お前はここであたしに何をさせるつもりだ?」
『何もしなくていい。破壊と闘争を眺めていろ』
「そんなことさせるもんか!」
『剣をとってその中に加わってもいい。破壊と闘争の渦の中へ』
「くそ、どっちにしてもあんたの思う壺か」
 なら破壊と闘争が起こる前に、なんとかしてみせる!

「あれ?ここで何をしているの?」

 声のほうを振り返ると、そこには少女が立っていた。
 どこにでもいるような村娘という風貌
「な、なんでもないよ。ちょっと散歩してたんだ」
「ふ~ん。そうなんだ」
「そういうキミはここで何を?」
「あたし?あたしね!」
 女の子は手を叩いて嬉しそうに笑った。
「神様の声を聞いたのよ!こんな素晴らしいことはないわ!」
 それはマルロスのことだろうか?あたしとの会話聞いたのかな?
「え~っと、なんて言ってた?」
「よく聞こえなかったけど……そう、剣をとれとおっしゃってくださったわ」
 やはりマルロスの声が聞こえていたらしい。
 それとも彼女にも聞こえるようにマルロスがしゃべったのかな?
 こんな女の子が剣をとるというのが、マルロスの言う破壊と闘争に繋がるのだろうか。
 なんにしても、しばらくこの子を見ていたほうが良さそうだ。

「え~っと、キミ。名前は?あたしはイナ。イナ・シルバチオ・ボルダーン」
 いつものように名乗りを上げる元気もなかった。
 さっきまで死にかけていたからそれもしょうがないか。
 女の子はニッコリと微笑んで応えてくれた。

「あたしはジャンヌ。ジャンヌ・ダルクよ」

 この世界で、いったい何が起きようとしているんだろう?

 という感じで、イナは竹蔵とは違い、時空を超えてもらいたかったのです。
 歴史に登場するような人物と共に、歴史になぞりながら舞台裏で活躍するような感じで。
 ただ、のちのちルイスというキャラができてきて、なかなかこの話ができなかったんですよね~。
 でも最初は戦う少女というイナと同じコンセプトを持つジャンヌダルクだと随分前から決めていました。
 ブログ小説は一種のパイロット版なので、もしかしたらサイトの方で公開する時はルイスもいるかもしれません。
 
 ちょっと別件でイナを書いているのですが、そのイナがこの設定に順じたイナだったので。
 そろそろ公開できそうなので、公開する前にこの話を書かせていただきました。
 そのイナは19歳ですがねw今日書いたイナは15~16なので。三年後ってことになりますかね。

 こっそりももこさんに描いてもらった19歳のイナをUP!
d9596659.png
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無題

ふむふむ。 

いきなり死にかけてて何事だと思いましたよw
こういう始め方もアリですね。

力が欲しいか・・・? ならばくれてやる!
的な感じで。 
ジャンヌ・ダルクいいですね!

Re:無題

ありがとうございます!
無敵な主人公というのも考えものでしたし、
剣劇なので誰でもあっさり死んでしまうくらいなものが丁度いいなと思ってたんですよね~。

アイリンの長年蓄えられたチカラが時空を超えたという感じで^^
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