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 抜然人活劇のイナの一人称は”私”ではなく”あたし”になってます。
 口調も婆言葉じゃありませんw
ブログ小説『-抜然人活劇-イナ イナと鬼武将』


イナ「……どこだここは?」

 相変わらずどこかへ飛ばされたらしい。
 また森の中か。人知れず世界を行き来するんだから、それも仕方ないか。
 アイリーン様から頂いた、左肩の宝玉。こいつはあたしを闘争の世界へいざなう。

マルロス「ここは……ジパングだ」

 おまけにこの宝玉は喋りだす。しかも自分のことをマルロスと名乗った。
 マルロスには一度命を助けられているから、あたしにはそれに付き合う義務があるんだ。

イナ「ジパング……はて?どこかで耳にしたようなしていないような?」
 初めてきた場所なのは間違いない。
 でも、なぜだろう……不思議と懐かしさを感じる。
イナ「……で?ここにはどんな戦いがあるのさ?」
マルロス「…………」
イナ「まただんまり?」
 いつもそうだ。あたしを他の世界へ飛ばす時だけしか口を開かない。
 ……ま、口はないけどね。

??「そこにいるのは誰だ!?」

 茂みの中から誰かが飛び出してくる。大きな体をした、体格から男だと分かる。
 全身に見たことの無い鎧を纏、その手には剣が握られている。
 身の危険を感じたあたしは身の丈ほどある巨大な剣、斬巌刀を構えた。
 それがいけなかったのか、相手は問答無用で斬りかかってきた。

ギィン!

 あたしと男の剣が交わる。 
 この斬巌刀を振るっているんだ。力には自信がある。
 けど、相手の腕力もかなりのものだった。
 互いが力に自信を持っているせいか、引くに引けない状況になってしまった。
??「そんな馬鹿デカイ剣を振るうとは。おぬし、何者だ!?」
イナ「デカイ剣はお互い様だ!」
 相手の剣もその巨体に似合うほどの大きさだった。
 それでもあたしの斬巌刀ほどはないか。
イナ「我が名はイナ! イナ=シルバチオ=ボルダーン!
   鬼神から受け継いだこの斬巌刀が相手だ!!」
??「鬼神……鬼か」
 男の力が更に強くなるのを感じ、更に力を込めた。
 どうやら男の方が上らしい。あたしもこの剣でなきゃもっと力押しができただろう。
 けど、あたしはこの斬巌刀と共にある。足りない分は修行で補うしかない。

??「鬼の名。容易く口にできると思うな!」
 男は力であたしの斬巌刀を押し通すと、そのまま斬りかかってきた。
??「チェストォオオオオ!」
 裂ぱくの気合と共に放たれる一太刀。
 これは……この剣は!あたしの師匠と同じ太刀筋だ!!
 下手に受けては剣ごと両断され、その踏み込みの速さ故、避けることも困難を極める。
 だったら――あたしも同じ太刀を放つだけだ!断てぬ物無しの一撃を!

イナ「チェストォオオオオ!!」

 ぶつかり合う剣と剣。
 激しい轟音を撒き散らせ、互いに一歩も引かずその場に踏み止まった。
 あたしの断てぬ物無しの一撃を受けたということは、相手の太刀筋も互角の力を持っているというころだ。
??「フッ。避けずに向かってきおったか。まだそんな阿呆がおったか……」
イナ「アホウじゃない!鬼神から受けついだこの剣と技、まだまだこんなもんじゃないぞ!」
??「ならば見せてみい。鬼の力とやらを」
 あたしはぐぃっと力で男の剣を押した。
??「力では勝てぬとわからぬか!?」
イナ「だ、れ、が……決めたぁあああ!」
??「うおっ!?」
 そのまま力押しで斬巌刀を振り切った。
 振り下ろした地面がザクッ!っと割れる。

??「フッ。まずは満足」

 男は今一歩のところであたしの一撃をかわしていた。
 けど、その兜には亀裂が入り、真っ二つに割れる。
??「この鬼島津を前に、鬼を名乗るだけのことは――」
イナ「し、師匠!?」
 あたしはその顔に見覚えがあった。
 その顔は間違いなく、あたしの師だった。
島津「なんだ??」
イナ「師匠だー!!」
 あたしは斬巌刀を手放すと男の胸に飛び込んだ。
イナ「リシュワット師匠ぉ~!」
島津「わけがわからん。リシュ……なんだと?」
イナ「師匠!師匠!師匠!」
島津「離れろ!くっ、なんたる馬鹿力だ!」
 幼い頃からあたしの師をしてくれたリシュワット。
 あたしに剣を教えてから数年のうちに亡くなってしまった。
 ……そうだ。師匠じゃないんだ。師匠は隻眼だったし。
 でも、この人の持つ雰囲気は、師匠のものに本当にそっくりだった。

??「叔父上!ご無事ですか!?」
島津「こっちだ、豊久!」
豊久「お、叔父上が女性と……不埒なことを……」
島津「フンッ。女性どころか、ただのガギだ!とっとと離れろ!!」
イナ「うぇええ~!」
 片腕であっさりと持ち上げられてしまった。
 さっきまで互いに剣を合わせていたのに、もう殺気がなくなっていた。
 あたしが泣きついたからだろうか?
 でも、そういうところも師匠ににてるんだなと思った。

豊久「それで、なぜあのようなことに?」
島津「この小童がいきなり飛び掛ってきたのだ」
イナ「小童ぁ!?あたしは飛び掛ってない!そっちが先でしょーに!」
島津「殺気を放ってきたのはそっちが先だ!大方、茂みから現れたのを見て恐れをなしたのであろう?」
イナ「恐れてない!あたしは!!」
 そう言われるとそんなような気もする。先に剣を向けたのはあたしだし。
 でもここは否定しておこう。でないと格好付かないし。

豊久「叔父上も、今は戦の途中ですよ」
島津「フンッ。だからこうして歩いているのではないか!」

 この豊久という人が現れてから、続々と同じ鎧を纏う兵士たちがやってきた。
 二人は森を進み、あたしもなんとなくそれに付いていっている所だ。

イナ「なんでこんな森を通ってるのさ?戦してるんじゃないの?」
島津「これぞ島津流の戦。誘い出した敵に奇襲をかけるのよ」
豊久「叔父上!簡単に話してよいのですか!?」
島津「別に構わん。敵の所へ走るなら、後ろからバッサリだ」
イナ「うっ。人の専売特許を……。バッサリするつもりならこっちだって!」
島津「見よ。ついたぞ」

 ついたのは戦場が見渡せる丘の上だった。
 島津たちと同じ鎧を着た兵士たちが押されているのが分かる。
イナ「負けておるのか?」
島津「これも兵法だ。囮を使って敵をおびき寄せ、待ち伏せているわしらが奇襲をかけて敵を囲い込む」
イナ「ふむ。なにやら釣りのようじゃな。いや、――」
 ――釣りと言うより追い込み漁か? と言おうとしたところで島津が大笑いをかました。
島津「それはいい!野伏して釣りをするか。今日からこれを『釣り野伏せ』と名づけよう」 
豊久「はぁ……」
イナ「結構、簡単に名づけるのね」

島津「よし!合図だ!者ども続け!」
イナ「それじゃ、助太刀するか」
 乗りかかった船だ。それに、少なくともこの人は悪人じゃなさそうだし。
 どうせ戦わなきゃ元の世界には帰れないんだ。
島津「ならば、我が武者ぶりを見るがいい。さぁ、鬼が出るぞ!」
 師匠に似ているせいか、小気味いいんだよなぁ。
 戦の善悪は分からないけど、この人は死なせたくない。
イナ「鬼神も負けてないぞ!」
 あたしと島津は同時に駆け出した。

豊久「……鬼が……二人……」

 今日はここまで。完全に戦国無双の島津ネタがやりたかっただけっていうね!
 鬼神のリシュワットのモデルが鬼島津だったので、このネタは一番にやりたかったんだ!!www
 あとはいつものとおりイナがバッサリやって終了ですw
 ブログ小説の場合は書きたい所まで書くスタイルでいこうと思います。

 たまにはイナも主役させにゃ!!

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