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ブログ小説『-抜然人活劇-イナ おてんば姫×2の冒険』
イナ「暗い……暗いのう」
薄暗い。見知らぬ建物の中に出た。
私をここに導いた左肩の宝玉はやはり語らない。
ただ闘争の地へ導かれるのみ。
私はそうやって戦いを見てきた。ここでもそれが起こるというのか……。
イナ「オマケにモンスターも出るようじゃのう。
立ち塞がるなら斬り散らすのみじゃが……、ターン制は無視させてもらうぞ!」
禍々しい気を放つモンスターたちは私を見るなり一斉に飛び掛ってきた。
一斉とは逆に好都合。剣を横に一振りすればグループ攻撃可能じゃ!
斬巌刀を薙ぎ払い、向かってくるモンスターを迎撃する。
『イナのこうげき。まもののむれに999のダメージ!』
斬巌刀を持ち替え、左右に展開するモンスターの頭上へ一太刀ずつ振り下ろす。
『イナのこうげき。まもののむれはいきたえた……』
モンスターたちを一掃すると斬巌刀を肩に乗せて頭を掻いた。
――なんじゃこの感覚は……? どこか懐かしいのう。
カッ、カッ、カッ……
足音が聞こえる。
それも速度を上げてこっちに向かってくる。
暗がりのため視覚で判別はできぬが、間違いなく人間。
が、その身に纏う気、隠すことを知らぬとでも言いたげな闘争心が私に向けられているのがわかる。
??「そこねっ!!」
叫ぶと同時に飛び掛ってきた。
その声とシルエットから少女だとわかる。
だがしかし、向かってくるなら相手をするのみじゃ!
少女の右手にはキラリと光る紅の爪。腕に装着するタイプのカギヅメだろう。
その爪の輝きが拳の鋭さと相まって更に鋭さを増す。
闇をも切り裂く紅の爪は容赦なく私の眼前に向けられる。
イナ「甘い!」
紙一重でそれを避けるや否や、少女は更に間合いを詰めて左の拳を見舞う。
――右手の爪は囮か!
すかさず横へ飛んでやり過ごすも、やはり間に合わない。
少女の拳が私の頬をえぐる。
暗転する視界の中、かろうじて飛び込んでくる少女の膝を見た。
斬巌刀をひるがえして側面で受け止めると、どれだけの力を秘めているのか、私はそのまま後ろへ吹き飛ばされてしまった。
地に足をつけて踏ん張りをきかせ、壁への激突を逃れる。
少女はというと、膝を押さえながら飛び跳ねていた。
??「イッタタタタ~!! もう! なんで砕けないのよ~!」
見ると斬巌刀にはヒビ一つない。
しかし、少女の攻撃を受け止めた私の手に痺れがきていた。
とてつもない馬鹿力……は、私が言えたもんじゃないのう。
しかし驚いた。ここまでの強さは紛れも無く本物。
あの爪は囮じゃない。最初から飾りに等しいほど、少女の拳は完成されたものだった。
イナ「どうした? もう終わりか?」
頬を押さえながら問う。
この顔に一撃を入れられたのは久しぶりだった。
怒りはない。――が、やり返さねば気が済まないところまできていた。
心が躍る。強敵と巡りあえたことへの高揚。ようなこの感覚は久しぶりじゃ。
??「……あれ? 普通の人間? しかも女の人~?」
イナ「ただの女だと思うな。我が名はイナ! イナ=シルバチオ=ボルダーン! さっきの一撃は高くつくぞ!」
??「ふぅん。面白いじゃない。わたしはサントハイムの王女、アリーナよ」
イナ「お、王女ぉ~?」
アリーナ「なによ? 王女が戦っちゃいけないわけ?」
ムッとした顔をするアリーナ。
そのセリフもその反応も、身に覚えがありすぎる。
彼女もまた、私と同じ。戦う王女なのだ。
イナ「愚問じゃ。戦士に身分など関係なかろう」
アリーナ「お~!初めて言われたかも。気が合うね!」
イナ「何を隠そう、私もモンドブルク国の王女じゃからのう」
アリーナ「へぇ~。同じ王女で、あなたも道に迷った仲間なんだ」
イナ「ん?道に迷ったのか?」
アリーナ「うん。……あれ?あなたもでしょ?」
イナ「まぁここがどこか分からないと言えばその通りじゃが……」
こんなモンスターだらけの場所に、それもたった一人で生きていられるとは。
やはりただ者ではないな。
アリーナ「まぁ、なんとかなるっしょ♪」
……単純なだけな気もしてきたが……。
アリーナ「で。さっきの一撃は高くつくんだっけ?」
イナ「うむ。このままでは終われぬでな」
アリーナ「じゃあお客さんの後でってことで、OK?」
イナ「応ッ!」
私たちは同時に振り返る。
と、そこには二体のモンスターが今にも攻撃をしかけようとしていたところだった。
アリーナ「気をつけて。こいつらスモールグールっていって、生半可な攻撃だと分裂しちゃうから」
イナ「なぬ?そうなのか?しまった……もう斬っておるぞ」
アリーナ「ええー!?」
スモールグールというモンスターの体が真っ二つに両断され、その場に倒れるかと思うや否や。
ぴょーんと飛び上がって分裂してしまった。
さっきまで二体いたのが四体に。これはなんとも面白い光景じゃ。
アリーナ「も~! だから言ったのに~」
ブーブー言いながらもスモールグールの一体に狙いをつけるアリーナ。
一気に間合いを詰め、腰を落とす。
アリーナ「会心の一撃ぃ!」
拳がスモールグールの顔面にめり込む。
そこからまた分裂が始まろうかとすると、更に次の一撃が分裂前のスモールグールを捉える。
両手による無数の拳が打ち込まれ、最後のフィニッシュブローによりスモールグールが消滅した。
アリーナ「どうだあ!」
イナ「やるのう。じゃあ今度は私の番じゃな!」
斬巌刀を振りかざし、踏み込みから大きく剣を薙いだ。
イナ「奥義!斬巌刀・五月雨斬り!」
一太刀で両断し、更なる一太刀で両断された胴体を斬る。
分裂の暇など与えない。そこから分裂するというのなら根元から断つのみじゃ!
アリーナ「あれ?分裂しないね?」
イナ「当然であろう?我が剣は断てぬ物無し!じゃからのう。
ホレ、この通り」
もう一体に向けて斬巌刀を振り下ろす。
この一撃は我が最高の一撃。断てぬ物無しの一撃じゃ。
スモールグールは分裂することなく二つの肉片となって消滅する。
残ったスモールグールは、ここで初めて恐怖という感情を覚えたかのような顔をして逃げていった。
追う必要は無い。ここには他にうじゃうじゃとモンスターがおるからのう。
アリーナ「へぇ~。強いんだね。やっぱり!」
イナ「そうであろう。そうであろう?」
アリーナ「やっぱり戦いたくなっちゃったよ」
イナ「そうであろう。そうであろう?」
アリーナ「さっきは……その、いきなり殴っちゃってごめんね」
イナ「よいよい。些細なことじゃ」
やはり私たちは気が合うのじゃな。
殴られたことなど既に忘れていた。
強敵となりえる相手と巡りあえたこと。
更に相手への尊敬が私の中で大きくなっていた。
アリーナ「わたし、あなたと戦いたい。すごく……すごく!」
イナ「うむ。それは私とて同じことじゃ」
アリーナ「でもね。同時に仲良くもなりたいって思ったの。
そしたらさ、仲間のことも思い出しちゃって……」
イナ「行かねばならぬのじゃな?」
アリーナ「うん。これからね。大きな戦いがあるんだ。たぶん」
やはりここには闘争の場が用意されていたようじゃ。
しかし、私は確信した。
ここでは、私の力は不要なのだと。
ではなぜこの世界の呼ばれたのか、という疑問も出てくるが……。
イナ「次に会った時。存分に戦おうぞ!!」
アリーナ「うん! それじゃ、行って来るね!」
元気よく駆け出すサントハイムの王女、アリーナ。
私は嬉しくも誇らしくその後姿を見送った。
この世界にきたのはマルロス(宝玉)の気まぐれだったのかもしれぬな。
ま、こういうこともあるじゃろう。
この出会いもきっと意味があるはずじゃ。
そう、私と導かれし者の出会いが……。
久しぶりに自由気ままに書けました~。
なんでアリーナかって言えば今ドラクエ4の小説読んでるからw
小説だとボクっ子なアリーナですが、やっぱり「わたし」にしました~。
無題
4 はやった事ないので、
なんとなくくらいしか知らないのですがw
武闘派な王女ってのもいいですよね。
何故この世界に呼ばれたかって、
神のような存在である影利さんが書きたかったからってのがありそうですなw
Re:無題
竹蔵武勇伝の時代からドラクエとは少し縁のある世界なんですよね~w
いやーでも僕もまさかドラクエ4を持って来るとは思いませんでしたねw
おてんば姫はいいものです(`・ω・´)v