ブログ小説『竹蔵武勇伝†他~我に断てぬ物無しじゃ!~』
女の声「誰か助けてください!」
助けを呼ぶ声に目が覚めると、あたしは大きく伸びをしながら辺りを見渡した。
????「ふぁ~……んん~?」
なるほど、野盗どもに囲まれるのはいかにもお金持ちですよといわんばかりの格好をした女性。
こんな町外れに一人でいれば、狙われても仕方が無い。
野盗A「おいねえちゃん。金目のモノを出せ!」
野盗B「いや、身包み全部剥がすべっ!」
野盗C「そいつはいい。さぁ、観念しなぁ?」
その様子を見てカチンと来た。何がってそりゃ~単純。
あたしは男が苦手なのだが、ああいう女を虐げるような輩はもっと大嫌いだ。
逆に身包み全部剥いでふん縛ってやって、すぐそこの川の中に放り込んで寒中水泳させてやりたい。
あたしは愛刀を片手に、野盗たちの元へ走った。
????「待てぇい!」
愛刀を片手に、野盗達の前にさっそうと登場する。我ながらカッコイイ!
野盗A「邪魔をする気か! 誰だお前!?」
????「貴様らに名乗る名は無い!」
ぶぁさぁ! とマントをなびかせ、ビシィ! と野盗に指をさしてやった。
あまりの格好良さに我ながら痺れてしまうぞ。
野盗B「……何だ。ガキか」
野盗C「家に帰ってママのおっぱいでもしゃぶってな。おじょーちゃん」
むぅかぁ~!!
誰がガキじゃ! 誰がお嬢ちゃんじゃ! あたしはこれでも剣士じゃぞ!!
????「どうやら死にたいらしいのう~? この剣が見えぬか!」
身の丈ほどある大剣をチラつかせる。
が、野盗たちは顔を見合わせて笑ってきた。
野盗A「こいつは笑わせてくれるぜ」
野盗B「そんな大きな剣。お嬢ちゃんに振れるものか」
野盗C「その剣を置いて、とっとと帰んなよ」
どこまでも人を舐めてぇ~。刀の錆にしてくれる!
????「黙れ! そして聞け!! 我こそは、悪を断つ剣なりっ!!」
正義を振りかざしたのが気に入らないのか、野盗達の顔つきが少し変わった。
野盗A「面白ぇじゃねぇか! やれるもんならやって――――」
????「一意専心っ!!」
ジャキィンッ!!
野盗B「うわらばっ!」
野盗C「あべれべっ!」
野盗Aが口上を垂れ流している間に、野盗BとCを一刀の下に斬り伏せた。
身の丈はある大剣を軽々と持ち上げ、野盗Aに剣先を向けた。
????「これでもまだガキ扱い……か?」
明らかに戦意喪失している野盗A。実力の差が分かるだけ利口だ。
野盗A「お、俺が悪かった!」
すぐさま土下座をして許しを請う野盗A。プライドってもんがないのか。
????「ほほぅ? で、どう罪を償うのじゃ?」
その面構えじゃ罪を償うなどしなさそうだけど……。
野盗A「それは……こうだ!」
あたしの目に向かって、野盗Aが砂を投げつけてきた。
目くらましのつもりか。そんなものはマントで簡単に防ぐ事ができた。
野盗Aは岩陰に隠れてしまった。
あたしが右へ回り込むと左へ。左へ回ると右へ。子どもの鬼ごっこか!
野盗A「こう見えても逃げ足には自信があるんだ!」
????「どんな自慢だ。……よぉーし。それなら考えがあるぞ!」
岩の向こうにいるであろう、野盗に向けて剣を構えた。
????「我が剣に、一擲を成して乾坤を賭せん……」
野盗A「へ!?」
あたしは大きく剣を振り上げると、岩に向かって剣を振り下ろした。
????「チェストォオオオオ!!」
自然に作られた頑強な岩は、無惨にも真っ二つになった。
????「我が斬巌刀(ざんがんとう)に、断てぬ物無しじゃ!」
野盗A「あわわわわっ!!」
岩を斬り裂いたあたしに恐れをなして逃げる野盗A。
あたしは斬巌刀を地面に突き刺し。ザァン!という音を響かせた。
ビリビリビリビリビリッ!
すると、野盗Aの服が真ん中から切れていき、一糸纏わぬ姿になった。
さっきの一撃で、既に切り裂いておいたのだ。
野盗A「いやんっ!」
????「それで寒中水泳でもするのじゃな!」
野盗Aの背中を思いっきり突き飛ばし、川へ落としてやった。
野盗A「ぎゃああ! つ、冷たいっ!!」
野盗Aはそのまま流されていってしまった。
????「ふむ。カナズチであったか……」
まぁ、やっちまったものは仕方が無い。あたしの責任じゃないし。
????「……さて。おぬしはなんともないかな?」
追われていたはずの女は既にいなくなっていた。
助けてやったというのに、礼も無しか。荒んどるのぅ。この国は…………。
無理やりとはいえ、礼儀作法を叩き込まれた身としては気に入らぬな。
母上がいたら何と言うか…………。
????「まぁいっか。あたしにゃ関係ないものなぁ~」
しかし、この国に悪党がいるのなら話は別。
我が斬巌刀で斬って捨てるのみじゃ!!
以上。特にコメントはありませんwww
PR