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とある待合室でそれは起こった。
「んなぁあ。おい!」←野太い声で
まさか家よりかなり遠い市で声を掛けられるとは思わず、ノホホンとコーヒー飲んでました。すると、
「お前え!聞こえてないふりしてわしをバカにしとんか!」
と大声で怒鳴られました。まだこの時は自分のことだとは気付かなかったのですが、
お爺さんは僕を見ていて、周りの人にも注目され、その中心に自分がいる事に気が付きました。
というか怒鳴り声はお爺さんとは思えないくらいパンチ効いてました。
「……なんですか?」
「なんですかはあるか!お前、何で無視したんや!バカにしただろ!」
もはやコーヒーの味が吹っ飛ぶほどの形相でした。
そのまま正面を向いてたら噛みつかれるんじゃないかという迫力ですよ。
顔真赤ですし、眼が怖い。まさに鬼の形相。
「すみません。気付きませんでした」
「バカにしよって!」
ここで「すみません」と謝っておけば、気まずい空気ながらも終わりだったんですけどね。
僕にとっては『このお爺さんをバカにする』という行為を認めたくなかったので、
「してません」
って言っちゃったんですよね。
どうして周りは止めないのかなぁ?とか思ってた矢先。
爺さん必殺の右ブローを胸に食らいました。まさかの事態に避けるなんてできませんよ。
しかも殴られた跡が割りとズキズキ残る。書いてる今もちょっとチクチクする。残りHP:1か2。
「イタタタタ~」←ちょっと涙目
「ふん!バカにしよって」
「いや、してませんよ」
周りがちょっとガヤガヤしてきまして、止めに入る人も出てきたんですが、「なんでもないですよ」と言って事態の悪化を防ぎました。近くのおばちゃんがやたら味方してくれて嬉しかったけども。
「大丈夫だった~?」とお菓子をくれるおばちゃん。「痛いですよ」と本音。
それからほんの少し間を空けて、さっきの爺ちゃんに話しかけてみました。近くのおばちゃんには袖を引っ張られるくらい止めとけと止められましたがw
「さっきは気付かなくてすみません」
「…………」
「……えっ~と、御用はなんでしょうか?」
「これやて」(この前に何回か言葉を掛けた気がしますが忘れましたwいっぱいいっぱいだったのでw)
取り出したるは雑誌。
「ここが読めんかった」
とトントンと雑誌を叩く爺さん。
「え?どこですか?」
さっきトントン叩いた場所とは違う場所を指す爺さん。
ここで納得。文字が小さくて読みづらいんだと気付きました。
「ああ。杞憂(きゆう)って読むんですよ」←ふりがな読んだだけw
「じゃあこれはなにぃな?」
「……読めません!」←読める字でしたけど、なんとなく自信無かったのでw
「読めん? さっきのは読んだじゃがろ?」
「ふりがなふってないですから」
と笑ってみせると、お爺さんもちょっと眉毛がピクッピクッとして笑いそうになってましたw
ここで分かった。この爺ちゃんツンデレだ。
「お前、ふりがな無いと読めんのか!」
「読めませんねぇ。この本はバカにしてますね!」
と笑ってみせると、お爺さんからポロッと出てしまった渋い笑い。
なんとなくうちの爺ちゃんの機嫌が悪い時に笑わせた時と同じ感じでした。
「フゥ~ウ~フフフッ。そうか。バカにしとるわ」
「でも、僕はバカにしてませんからね?」
「そうかそうか。すまんかった」
ニコニコした笑いじゃなくて、本当に渋い笑いをしてました。
「でも大丈夫ですよ。痛くなったら病院行きますから」
……まさに今、ここが病院だったりします。
「そうかそうか!」
顔の筋肉全部笑ってるだろと思うほどの頬の脈動を見せて笑うお爺さん。
それから話をすると「そうかそうか!」と笑うようになってくれました。
「もうそんなことしたらあかんよ!」
と近くのおばちゃんに怒られるも、そのお爺さんは「わかったわかった」と頷いてました。
それから自販機のお茶を渡してどーでもいい話をしてました。
和むという字のままに、いい時間を過ごした気がしますね。
何で僕に話しかけたのかって聞いたら、近いし話しやすそうだったからと、頭をかきながら照れながら言ってましたww
それからそのお爺さんが連れてきたであろう、お婆さん出てくると、お爺さんは立ち上がって、
「お前。この辺に住んどるのか?」
「各務原ですよ」
「知らんなぁ~。遠いんか?」
「遠いですね~。車で三時間くらい」
「そうか。ならもう会えんな」
「会えますよ。お互いに長生きすればね」
「ほうか……ほうやな」←その後も小さく「ほうやな」を2回言ってました。爺さん萌えw
その存在感バリバリだったお爺さんも、足取りはやっぱりお爺さんそのもので、後姿もやっぱり細くヨロヨロでした。お婆さんはもっと小さかったですね。
あ~もっと話したかったなぁ~と思いましたね。
一期一会とはよく言ったものですが、また会いたくなりました。
一緒にきていた友人に話すと、「お前、それ殴られ損じゃね?」と言われましたがww
そのお爺さんと話していたら、もう、そんな事は関係無くなってました。
やっぱり亀の甲より年の甲ですよね~。
(オチ)
友人「あ、俺のお茶買っといてくれた?」
影利「あ~。その爺ちゃんにあげた」