「私はね、気が短いんだよ。いつになったら主役張らせてくれるのかな?」
書きます書きます!だから殺さないで下さいm(__)m
TD翔で既に主人公みたいなもんじゃん。とは、口が裂けても言えないw
ブログ小説『CROSS DRIVER→真紀~ハガネのタマシイ~①』
同僚の越野は言った。危ない目にあうから、行ってはいけないと。
お前には何か見えているんだろうが、そんなもの、私には関係ない。
ここで手柄を上げて、部長に昇進してやる。
街の中心にたたずむ12階建てのビルがある。
不況の波に飲まれたのか、今では下三階以外まったく機能していない。
その上の階で、どこぞの外国人が出入りしているという情報があった。
しかも、そこで行われている取り引きには日本のヤクザが関わっているんだそうだ。
つもりは、このビルの所有者はそのヤクザのもの。中で何かあっても、闇から闇へ。
決定的な物を持ち運んでいない限りは踏み込めない。
そういうのは私の管轄ではないんだが、そういうわけにはいかなくなっていた。
ヤツらが取り引きをしている目撃情報があった。情報源は、家出中の女子高生。
忍び込んでその現場を目撃したらしい。で、それがヤクザにバレて、ビルの出入り口は封鎖。現在はあのビルのどこかで身を隠しているということだ。
なんでそんな情報があるかって? そりゃあその女子高生が私のイトコだからだよ。まったく……。
深夜に携帯に電話してきやがった。
……ま、乗り込む口実にはなったし、事件も解決すれば大手柄。
彼女にはしばらくそのまま身を隠してもらって、全部解決したら保護してやろう。
というわけで、荷物持ちの後輩を引っ張ってきたんだが、まさか越野に会うとは思わなかった。
あいつ、非番を利用して引きこもってるかと思いきや、出かけた直後に窓開けて言うんだよなぁ。
危ないからやめろ、と。大きなお世話だ。
太田「先輩!やっぱり止めましょうよ~」
ガチャガチャと音を鳴らして私の後ろからついてくる太田。太田……何某。
真紀「おい。静かにしなよ。ヤツらに気付かれるだろ」
太田から鞄を受け取ると、小さな懐中電灯を咥えて中身を取り出した。
太田「……え?ガラクタ?」
これだから物を知らないヤツは……。
太田の言うそのガラクタを手早く組み上げていき、拳銃を作った。
太田「すげー。映画みたいだ」
真紀「ううさい。らまってなしゃい」
懐中電灯を咥えてるせいで上手く喋れなかった。
そうこうしているうちに二丁目も完成。どんどん作っていく。
太田「どこでこんな物を?」
それに答えるつもりはない。これでもあちこちに顔が聞くんだが、それを言ったらまずいだろう。
口から懐中電灯を外し、とりあえずタバコで一服することにした。
太田「こ、これ!手榴弾じゃないッスか!?」
しかしこの男、ホントにうるさいな。
真紀「人の荷物をあさるな。それと静かにしろ」
太田の手から手榴弾を奪うと、しばらく考えた後に鞄へ戻した。
太田「あれ?使わないんですか?」
真紀「トーシロ。こんなトコで使えるか。それに手榴弾は嫌いだ。どっかの外国じゃ、これをもって特攻する市民がいるんだ。気に入らないね」
太田「そういうもんですか?」
真紀「あたしがソイツを使うときは余程腹が立ってる時か、それとも……」
――死を覚悟している時、か。
太田「それとも?」
真紀「いいから行くぞ」
太田の額に手刀を浴びせ、ビルの入り口を指差した。
ビルの入り口には黒いどうみてもヤクザですと言っているような車が一台。
そしてこれもヤクザしてますと主張するような黒のスーツを着た男が二人と、似合いもしないアロハシャツと赤いサングラスをかけた外国人がいる。
太田「む、無理ッス!」
真紀「誰もお前をあてにしてないよ。私があいつらを倒したらふん縛って車に放り込んでおけ」
太田「先輩一人で行くんですか!?」
私は鋭い目つきで太田を睨んだ。
真紀「お前、あんまり私をナメるなよ?」
太田「うっ!は、はい~!」
ホントに軟弱者だ。よくそれで警察官が務まるよな。
両腰に拳銃。背中にコンバットナイフ。弾はありったけ。あとは鋼の肉体で事足りるな。
真紀「行くよ!」
私はヤクザに向かって走り出した。
太田「えぇ!?こっそり近づくんじゃ――」
後ろから聞こえる太田の声は無視。そんなことしてどうするっていうんだ。
ヤクザ一人の首筋に自慢の手刀を落として気絶させ、もう一人のヤクザが懐に手をやったのを見て上着の上からヤクザの拳銃と手を挟んで蹴り飛ばしてやった。
派手に吹っ飛ぶヤクザに、続けざまに頭へ蹴りを入れて気絶させた。
空いている手で外人に向けて拳銃を構えた。
この間、約三秒。ってところか。
外人「アア、ウア……」
服の上から銃は隠していないのが分かる。
外人「アノ、ワタシ、ハ……」
真紀「日本語でしゃべろファック!」
ドゲシッ!
外人「ハフン!」
手刀で外人を気絶させる。
太田「……今、日本語でしたよ?」
やっと追いついたかと思えばそんなことを言う太田。面倒だから無視してやる。
ヤクザの懐から銃を二つ拝借して、片付けは太田に任せる。
太田「ヤクザの銃を使うんですか?」
真紀「できればな。弾痕とか残るだろう?それに、弾もったいないもの」
貧乏性で言ってるんじゃない。ケチケチするのは性に合わないんだ。
後からやってくる鑑識の目も欺かないと、私が裁かれかねない。
太田「どうして先輩はそこまでしちゃうんですか?」
「するんですか」じゃなくて「しちゃうんですか」に何だかひっかかりを感じるな。
こいつのことだから、正義感とか口にしそうだな。……けど、私は違う。
真紀「気に入らないんだよ」
太田「えっ?」
真紀「私が気に入らない。だからやる!」
太田「ええぇ~!?」
ちゃんと答えてやったのにそのリアクションは何だ?
太田「犯罪が気に入らないからですか?」
真紀「私が全部正しいから、気に入らないものは全部悪だろ?」
サーと顔から血の気が引いていく太田。だからそのリアクションはなんだよ?
他人が作った正義なんてクソ食らえだ。私は私が正しいと思うことをする。
この街で犯罪を犯そうとする輩は私に唾を吐くのと同じ。ならその喧嘩、存分に買ってやるだけだ。
うちの親父なら、法が正義だとか言うんだろうけど。私は違う。
真紀「いいからそいつらを片付けておけ。私は行くぞ」
太田「は……はぃ~」
気の抜けたような返事をする太田を置いて、私はビルの中に入っていった。
そうだ。私は正しい。その信念を曲げることは許さない。
誰に何を言われようとも、私は私の生き方を全うする。
それがこの私、紀野真紀の生き方だ!
つづく。
久しぶりに真紀で書いてみました。ブランクあるのかないのかわかりませんね~。
ブログ小説なので割りと楽に書いてるつもりなんですがね、長くなっちゃうんですよw
なので分けて公開していきますね~。
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