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「その②」



ブログ小説『CROSS DRIVER→真紀~ハガネのタマシイ~②』


 一階から二階へ、二階から三階へ駆け上っていく。
 ここまでは使われている階層なせいか、特に敵はいない。
 三階から四階への階段で、身なりのいい格好をした外国人が飛び出してきた。
 私の足音を聞いてやってきたのだろう。
 顔を強張らせて、命知らずにも威嚇してやがる。

外人「止まれ!一体何の用だ?」

 さりげない動作で後ろへ手を回す外人。携帯か、それとも武器か……。
 それより、時間稼ぎをされるのはゴメンだ。
真紀「警察だ。そこをどけ!」
外人「ここには何も無い。令状が無ければ警察でも不法侵入だ」
 私が警察だと知ると、外人は後ろにやった手を横に戻した。
 ――あ~あ。つまらんヤツだ。
 しかし警察と名乗ったのは正解だった。これで失敗すれば私は懲罰を受けることになる。
 自分を追い込んで、身を引き締めることができた。
外人「おい。早く帰れ」
 私の肩に触れると、トンと軽く押してきた。私はその目を鋭く睨みつけてやった。
真紀「私に触れるな!」
 その腕を取り、階段下へ投げ飛ばしてやった。
 外人が床に落ちるとドシーンという音が響いた。これはマズイな。
真紀「無断で触れられて不快な思いをした。立派な痴漢の現行犯だ」
 階段の下で伸びている外人にそう吐き捨ててやった。
 階段の段差に落とされなかっただけでも感謝してもらいたいもんだ。

????「おい、何があった!」

 誰かの声がする。声質から日本人だと分かる。
真紀「仕方ない。ここは身を隠すか……」
 四階の一室へ入る。すると、その部屋は四階全てを使ったホールになっていた。真紀「馬鹿じゃないのか」
 私は会議室のように四角く配置されたテーブルの隅で、ノンキにもカレーを食べている外国人。その三人の男に向けてそう吐き捨てた。
 まだキョトンとした顔で侵入者である私を見ている。その手にはスプーンが握られたままだ。

外人三人『イヤアアアアアアア!!!!』

 何の苦労も無くザコを倒してやった。
 ……今回、銃いらないんじゃないか?
????「誰だ!?」
 さっき階段で声を上げたヤクザの男だろう。
 この惨状と私の腰に銃があるのを見て、男は躊躇することなく懐へ手をやった。

 大きな銃声が部屋へ響き渡る。
 これで他のヤツらも異変に気付いただろうな。
 恐らく、外にも銃声が聞こえているだろう。
真紀「あ~あ。やっちまった……」
 通報されて他の警察がくるのに十分から十五分ってところか。
真紀「ったく。余計なことをしてくれたな」
 そこで伸びている男へそう言うと、その男をまたいで部屋からでた。
 無論、殺してはいない。銃を撃ったのはこの男だけ。
 私は抜き手で喉元を突き刺し、ダメ押しに股間へ蹴りを入れてやっただけだ。

 それより急ぐ必要がある。私はそばにあるエレベーターのスイッチを押した。
 このビルは十二階建て。そのどこで取り引きが行われているかはわからない。
 私の勘ではそれなりの人数がいることから、あまり下の階ではなく、かといって上の階過ぎもしないと思う。
 ヘリが着陸できるような造りで、ヤツらがヘリを所有しているなら最上階もありえるけど。
 エレベーターが下りてくると、ありがたいことに、そこには誰もいなかった。
 ドアに手をかけて、エレベーターのボタンを確認した。
 エレベーターのボタンは①~⑥まで並んだ隣に⑦~⑫のボタンがある。
 私の勘だと七階が怪しいと睨んでいる。こういう悪人達はまどろっこしいのが嫌いだから、端のボタンを押したがるもんだ。
 それに、⑨~⑫までのボタンがあまり汚れていないのも理由の一つだ。⑧は少し汚れていたけど。
 とりあえず、エレベーターで逃げられるのを防ぐために、この階にあったテーブルをエレベーターのドアに挟んでおいた。これでこのテーブルがどけられない限り、エレベーターは使用できない。
 各階へ移動するにはたった一つ。この階段だけということになる。

 エレベーターが使えないことで、さっそく階段から多くの足音が聞こえてきた。
 銃に弾を装填する音も聞こえる。
 それはそうか。銃声がした以上、相手が銃を持っている可能性が高いからな。
 もちろん持っているさ。私の銃二丁と、ヤクザが持っていた銃が二丁が。

????「いたぞ!!」
????「だ、誰だ!?」

 案の定、階段から降りてきた二人が私に銃を向けてきた。
 私はすぐに、さっきの男の銃を撃った。
ヤクザA「ぐわあ!」
 しかし、手の銃を弾くつもりが、相手の肩に当たってしまった。
 その場でうずくまるヤクザA。
真紀「クソッ!手入れくらいしなさいよ!」
 もう一つのヤクザの銃でもう一人を撃つ。今度はちゃんと銃にあたった。
ヤクザB「チィッ!」
 銃が無いとなると、私に向かってきた。
 阿呆か。こっちは銃を持ってるんだぞ。
 外国のヤクザとは違い、固い仁義を日本のヤクザは持っているということか。
真紀「いらん!」
 狙いの定まらない方の銃をヤクザへ放り投げた。
ヤクザB「あ?」
 立ち止まってそれを受け取るヤクザB。やっぱり阿呆じゃないのか?
 その隙にヤクザの顔目掛けてエルボーを食らわせてやった。
 まったく。素手でも相手にならんとはな。

 歯ごたえが無さ過ぎてイライラしてきた。
 ポケットからタバコを取り出すと、ライターを探した。
 ズキューン!という銃声が響いた。
 私は慌てて階段の影に身を隠す。少し確認したが、外人が五人ほど銃を持ってこっちに向かっていた。
 ――チッ。タバコも吸えやしないじゃないか。
 そう言ってタバコに目をやると、その先端が吹っ飛んでいた。もちろん、ヤツらの狙いは私だ。弾がそれて、たまたまタバコに当たっただけ。
 しかし、私の大事な喫煙タイムを邪魔しただけでなく、貴重なタバコまで壊されたことに腹が立った。
 私はヤクザの銃を捨てて、愛銃を両手に持った。

真紀「覚悟しろよ……。誰に喧嘩を売ったのか、身を持って教えてやるよ!!」


 つづく。

 ということで、第二段。なんだ。GW中に終わらないじゃないかwww
 どうしても長くなってしまうのが悩みのタネですが、真紀は書いていてホントに楽しいですw
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