ブログ小説『竹蔵武勇伝†他~バレンタインじゃ!~』
イト「竹蔵!バレンタインじゃ!バレンタインじゃ!大切なことなので二回言ったぞ!」
俺の耳元で煩く叫ぶイト。
竹蔵「なんだってそんな張り切ってるんだよ?」
イト「だって前回も前々回もタイトルコール取られたんじゃぞ?」
それってそんなに大事かよ。
竹蔵「ま、いいや」
イト「よくない!」
いや、そんなに引っ張るなよ……。
竹蔵「……で、暴れたいのか?」
ズペペッ。と前のめりにコケるイト。なんか反応が新しいな。
イト「『暴れたいんじゃ!』じゃないわい!『バレンタインじゃ!』と言ったのじゃ!」
バレンタイン。バレン・タイン?バ・レンタイン?
竹蔵「人名か?」
イト「違う!今日は好きな者へ贈り物をする日じゃ。主にチョコレートをな」
ハロウィンはお菓子。クリスマスはチキン。節分は豆。バレンタインはチョコレートか。
食べ物ばかりだな。
竹蔵「……で、俺はイトにチョコをやればいいのか?」
イト「そ、そうじゃ」
――なんで赤くなるんだよ?
イト「今日は好きな物へチョコを贈る日じゃからな」
竹蔵「なんで二回言うんだよ。それも大事な事かよ?」
イト「い、いや。それでもわしにくれるという事はそういう事で、そんな堂々と言われるとゴニョゴニョ」
よく分からんが、俺からのチョコが嬉しいらしい。
竹蔵「ほら、チョコレートだ」
イト「ほぉ~」
俺からチョコを受け取ると、じっとチョコの包みを見つめるイト。
そんなに嬉しいのか。アイリーンがチョコを用意しろと言ったのはこういうことだったか。
イトがこんなに喜ぶのなら、用意してよかったと思える。
竹蔵「……で、イトはくれないのか?」
イト「もちろんあるぞ。わしはおぬしが好きじゃからな」
竹蔵「おま、そういう事……よく言えるな」
俺は思わず顔に手を当てた。
自分でも恥ずかしさで顔が赤くなっているのが分かる。
イト「ふっふっふ~」
イトは俺にチョコを手渡した。イトらしい包みがしてある。
竹蔵「……なんてーか。嬉しいもんだな」
イト「そうであろう? わしもそうじゃ」
竹蔵「そ、そうかよ」
イト「うむ!そうじゃぞ」
イトはホントに嬉しそうな顔をする。
行事なんて面倒なものだと思っていたが、こういう行事もいいもんだな。
今ならそう思える。
▽
○○年後
△
イナ「チョコ、やる」
娘のイナがチョコレートが入っていると思われる包みを渡してきた。
竹蔵「チョコ? なんでだ?」
イナ「今日はバレンタインじゃ!」
あ~そういえばそんな行事もあったっけ。
竹蔵「なんだお前。俺が好きだったのか?」
反抗期かなんなのか、どうも嫌われてるような気がしていたが、思い違いだったかな?
イナ「ち、ちちち違うわぃっ!」
べきょっ!
イナのチョコが俺の顔面にめり込んだ。
イナ「父上の馬鹿!うぬぼれ者!ナルシスト!くぁwせdrftgyふじこlp;」
なんだかもの凄い罵声を浴びせて行ってしまった。
娘の気持ちはよく分からねぇな……。
時代越えオチしてしまいましたw
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